Sportsの窓

EPISODE 9

 【3】


〜The British & Irish Lions Tour to South Africa 2009
ブリティッシュ & アイリッシュ ライオンズ ツアー 南アフリカ 2009

ライオンズチームマーク



4年に1度、その国とは12年毎になる
ブリティッシュ&アイリッシュ ライオンズツアーが約1ヶ月の長い遠征に
今月始めに幕を閉じました


このチームは下記4カ国の先発メンバーで「ライオンズ」チームを形成し、
4年に1度南半球国(南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド)の1カ国へ遠征して
テストマッチを行う
その対戦は12年に1度、というある意味では
同じように4年に1度のラグビーワールドカップと双璧するほどの人気ぶりのツアーです



イングランドチーム   ウェールズチーム  スコットランドチーム  アイルランドチーム
イングランド   ウェールズ  スコットランド   アイルランド

代表テストマッチではスタジアムが真っ赤に染まるほどに
遠い北半球夏の国から一気に南半球の冬に突入するのも何のその!
ライオンズ応援団の多さにびっくりしました!

その観客数は前々大会(オーストラリア戦)20,000人、
前大会(ニュージーランド戦)35,000人、
今大会(南アフリカ戦)は30,000〜40,000人もの応援団が
ツアーを組んで観戦に訪れたとも言われていました


4カ国の混合応援団
スタジアムの真っ赤はライオンズの応援団
イングランド、スコットランド、アイルランドファンが一同に声援を送っています

4年に1度のこの観戦ツアーチケットは
IRBが指定した旅行代理店を通して
英国、アイルランドなどからのツアーに組み込まれたもので
私自身も良く知る英国のGullivers Travelからのメールで
参加要項を見ては1年以上前から楽しんでいました
(特にこの会社からのメール案内で
ラグビーツアーを紹介するのは元イングランド代表選手
Bath出身の2番Chilcottさんでそのサイト内容も充実しています)

しかし、思いのほか英国から出る南半球ツアーは
実際想像以上に遠く・・・高価で・・・
特にオーストラリアやニュージーランドへは
日本から向かった方が早いし、ツアー代金なども安く行けるようにも思いました

だから、英国や北半球に住む人々は私達以上に思いのほか
この南半球遠征ツアーへは一生に1度のツアー!と思い入れが強いのでしょう・・
以前英国からの応援でメルボルンで出会った人々は
4年間頑張って働いて
このツアーを毎回楽しみにしているんだーと
ワイナリーツアーでのお食事会で
英国人グループの方々は嬉しそうにそうおっしゃっていました


上記のサイトはラグビーについてのツアーをいろいろと発表しています
見ているだけでも楽しいのでシーズンオフの際は
次回の試合スケジュールが早く発表になるので
覗いてみるだけでも楽しいので、ご参考になれば幸いです










【2009年ライオンズ南アフリカ遠征ツアーを振り返って】



このシリーズが始まる約1年前から
代表選手に誰が選ばれるのかが毎回の選出で
尽く名前が入れ替わっていました

“The Lions King”こと
ライオンズチームのヘッドコーチに選出された
昨年5月から話題の人となった
London Waspsのディレクターでもある
Ian・Mcgeechanは
前回12年前の遠征でもヘッドコーチを努めた
対南アフリカ戦には精通しているとされている人物です


ヘッドコーチ Mcgeechan
温和な性格にも見えるヘッドコーチ
イアン・マギーハン


彼は最終的に37名の代表選手を今年の六ヶ国対抗戦後も迷いに迷って
(怪我をした選手、復帰してきた選手も多かったため・・)
優勝したアイルランドから11名、
昨年の覇者ウェールズから最も多い13名、
強いフォワードを中心としたイングランドからは10名、
そして最も少ないスコットランドからは
主将候補にもなった激戦ポジションからのブレアー含む3名で
総勢37名が選ばれました

全体を見るとフォワードからバックスまで
各国のスタープレイヤーが一同に集まり
このメンバーだけでも豪華ラインアップ!
やっぱり英国ラグビーファンが4年間をじっくりと待つ価値ある選手陣になりました


代表37名
最終的に選ばれた37名代表選手

特にその顔ぶれをみると
ファワード陣はやはりイングランドのベテラン勢に含め、
今年の六ヶ国対抗戦で強かったウェールズの面々、
個人的には最も最後まで興味あったハーフバックスのメンバーには
やっぱりジョニの名前が欲しかった・・・


アンドリューとジョニ
もう暫くは見られない・・このツーショット
イングランド協会ジョニの師匠とも言えるロブ・アンドリューと
ニューカッスル時代のジョニ


しかし、今期の各国バックス陣はとても豪華な屈指のメンバー揃いで
ウェールズのベテラン・ステファン・ジョーンズや若手のホック、
怪我から復帰のイングランド大型スクラムハーフのエリスや
主将候補だったスコットランドのブレアー、
おなじみのアイルランド“おぼっちゃま”オガーラなどなど・・
昨年の怪我以降まったく出場できなかったジョニの名が都度都度出ているだけでも驚きの的
最終的にはその名が無くとも不思議はありませんでしたけれど・・・

バックスには斜めステップの頼もしいベテラン、アイルランド長年の主将オドに
乱暴者揃いの南アに通用するのか?小柄な“牛若丸”ことウェールズのシェーン・ウィリアムズ、
期待の若手アイルランド、“背走の守護神”ロブ・カーニー・・・と
とても華やかなメンバーでした


“牛若丸”シェーン・ウィリアムズ
いざ!出陣!
“牛若丸”170cmに満たないシェーン・ウィリアムズ
 もう30歳を越え更に頼もしくなりました



そして、12年に1度のこの開催は
迎える南アフリカ
でも各地で大きなお祭りになり、
試合の合間にその街で触れ合う子供達を指導をする
両代表選手たちや首脳陣スタッフたちが
特に多くの時間を割いたことも
今大会の試合同様大きな目的の一つだったようにも思いました

ハバナとロビンソン ライオンズ主将 オコンネル
左は南アフリカ代表のハバナとライオンズのコーチスタッフとして参加の
元イングランド代表のジェイソン・ロビンソン
右は今回のライオンズチームの主将 オコンネル
それぞれ子供達に教える様子


南アフリカは次回のサッカーワールドカップ開催国でもありますが、
やはり本国では圧倒的にラグビーの方が人気が高く
代表選手はそれだけで子供達のヒーローにもなります

そして、ライオンズチームのコーチ、スタッフ達は
私達にはとても嬉しい各国の元代表選手が務めていて
折に触れて顔を覗かせる彼らに嬉しくなるほどでした
(イングランドの元代表ロビンソン然り、
ウェールズ元代表で未だ人気抜群のニール・ジェンキンズはスタッフ、
同じく59キャップを保持した元ウェールズ代表のロバート・ハウリーはバックス・コーチ、
又54キャップを保持したフォワード全盛期のイングランドで活躍したラウトリーは
スクラムコーチでの参加になりました)






さて、ツアーは南半球のクラブチーム決戦でもあるスーパー14でもお馴染みな
5つのチームとの対戦から始まり、
そのチームの各ホームグランドでの試合は
遠い国から来た代表選手たちを観に地元のファンのみならず
遠方からも子供達が多く集まり
夢のゲームに興奮した様子がよくテレビに映されていました


南アフリカ地図
PHOKENG,NR RUSTENBURG PRETORIA JOHANNESBURG
DURBAN BLOEMFONTEIN CAPE TOWN PORT ELIZABETH

の地図はライオンズツアーが行われたスタジアムの場所
南アフリカの街の地図です

如何に国中を駆け巡って沢山の子供達や地元ファンに
最も興奮するゲームと出会いを
彼らに沢山プレゼントをしたかが伺えるようです
・・・
本当にどんな子供も一所懸命選手達を出迎えていた笑顔がとても可愛らしかった


アイルランド主将オドリスコルとオガーラ
アイルランド主将オドリスコルとオガーラを迎える地元子供達



南半球の国の中で約15年前までは
世界各国との対外試合を禁じられていた長い期間が一気に解き放たれたように
この国の多くの人々にラグビーは広く深く浸透していったように思えます

あの1995年のワールドカップでの優勝を目の当たりにし、
また前回の大会でもゆるぎない優勝を果たしたこの国のラグビーと
北半球勢が真っ向勝負する機会は一時も逃したくありません


そんな執念にも似た対戦相手に
彼らライオンズはどんな試合結果を残したのでしょう




5月30日を皮切りに3戦のスプリングボクスとの戦い含め結果は以下のようになりまし

曜日 開始時間 WIN 結果 LOST
5/30 15:00 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ  37-25 ロイヤルXV
6/30 19:10 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ 74-10 ゴールデンライオンズ
6/06 15:00 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ 26-24 チーターズ
6/10 19:10 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ  39-3 シャークス
6/13 15:00 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ 26-23 ウェスタンプロヴィンス
6/16 16:00 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ 20-8 サザンキングス
6/20 *15:00 スプリングボクス 26-21 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ
6/23 19:10 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ 13-13 イメージングスプリングボクス
6/27 *15:00 スプリングボクス 28-25 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ
7/4 *15:00 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ 28-9 スプリングボクス
*は代表のテストマッチ ●は上記の地図と同じ色がホームスタジアム


6月20日のテストマッチ初戦までは
各地区のクラブチームをほぼ圧勝してきたライオンズチーム

すでに季節の違うこの南半球での試合も3週間余りをこなしてきて
テストマッチ第一戦目は万全の体制だったに違いありません






【第一戦目】

 
6月20日

DURBAN The ABBA Stadium

British & Irish Lions
VS South Africa
21-26
(前半終了時 7-19)

初戦海沿いの街DURBANはシャークス・クラブのホーム
来年2010年に開催されるサッカーワールドカップの準決勝が行われる予定のABBA スタジアムは
1891年に建造、約100年後の1990年に改装され、
現在は60,000人のキャパシティーを誇ります


アバスタジアム
歴史あるABBAスタジアム 
通常56,000人と言われるがシートの数は60,000人分あるそうです



このスタジアムでテストマッチ第一戦目の攻防が繰り広げられました

メンバーは注目のライオンズのハーフバック団
先発は9番フィリップス&10番ステファン・ジョーンズのウェールズコンビからスタートしました

そして、対する南アフリカ歴代主将の中でも語り継がれるくらいの名主将
ジョン・スミットはこの試合では3番として出場


大声援を受ける主将Smit
絶大な人気を誇る南アの主将スミット SA公式サイトより


そのスミットが試合開始早々5分で
ゴール左隅へ狭いスペースを抜けた先制トライを上げ、
対するライオンズはその前2分に南アのペナルティーからのゴールを決められず
その後も幾つかのチャンスにきちんとこのペナルティー・ゴールでの点を積めなかったことが
最終的には結果として点数に出た試合になりました



南アの1番Mtawariraと3番Smitに止められるO'Connell
南アの1番マトワリアと3番スミットに止められる
ライオンズの主将5番のオコンネル
 ライオンズ公式サイトより


前半は当たりの激しい南アのディフェンスを
持ち味の斜めに抜けるステップで切り抜けた
その絶妙のパスを繰り出したアイルランド・オドリスコル(オド)から
そのパスを受けたイングランド6番のクラフトがトライ
その後やっとジョーンズのコンヴァージョン成功
前半はこの7点をもぎ取るのが精一杯でした



6番Croft
本来はLockのポジション 本日は6番にて出場 ライオンズ公式サイトより
イングランドからクラフトの2つ目のトライ
 

後半再び6番クラフトのトライ、続いてウェールズの9番フィリップスのトライと
合計3つのトライを上げ、
対する南アは後半は若い6番ボルソーがトライ
合計で南アは2トライと
トライ数ではライオンズが上回ったにも拘らず
敗れた敗因は何と行ってもスクラムで圧倒的に南アに圧されたこと

屈辱的なまでに前半そのことで尽くライオンズのフォワードは
スクラムでペナルティーを取られ
そのペナルティーゴールだけでも4つ=12点
確実にそれを点にした南アの10番ピナールが
結果的には南アの勝利へ導いたキックともなりました

その前半から後半にかけてフォワード戦において
第一列を2番フッカー、3番プロップアダム・ジョーンズと
3人をウェールズ勢に代え早急に立て直そうとしたがすでに遅し・・・


スクラムで負けたライオンズ
第一列をウェールズ勢に代えが時にすでに遅し・・崩されたフォワード 試合終了
主審のノーサイドに大きく腕が上がる 勝利に喜ぶスクリングボクス SA公式サイトより

この試合で笛を吹いた主審はNZのローレンスさん
南半球主審の判定による笛に
おそらくは北半球勢のフォワードは
その違いについての戸惑いがあったのでは・・?とも言われましたが
しかし、そのことが敗戦の要素の大きな原因とは言えない
(言ってはいけない)ことのように思いました





さて、ご自慢のフォワードでの敗戦から
次ぎの第2戦目までの建て直しに
ライオンズチームはどのように戦うのでしょう・・・





【第二戦目】

 
6月27日

Pretoria Loftus Versfeld

British & Irish Lions
VS South Africa
25-28
(前半終了時 16-8)

ロフタスヴァースフェルドスタジアムは、
ブルズの本拠地で海抜1300mという高地に位置し
この国の首都プレトリアにあります
その観客動員数は最大で45,000人

スタジアムの建造は1923年
その後1928年に初めてニュージーランドチーム・オールブラックスを迎い入れた試合から
大きくスタジアムは建て変えられ、
1984年に現在の形になりましたが、その後も徐々に席数を増やしながら現在に至っています


Loftus Versfeld Stadium
古い歴史を持つロフタスヴァースフィールドスタジアム

そのスタジアムの公式キャパシティーを大きく上回る観客動因数を有したこの第2戦目
何と!この日の試合に52,511人という数を発表
この試合から復活した人気抜群の“乱暴者”
6番のスカルク・バーガーの記念すべき
50キャップ目というおまけもつき、
この一戦を勝利すればこの大会は地元南アフリカのシリーズ優勝ということもあり、
膨れ上がるほどの観客数となりました



この試合に賭ける両チームのメンバーは
南アフリカ・スプリングボクスはベテランキャップ数を見ても
お馴染みのメンバーを揃え、
控えの選手も前回同様フォワードに重点をおいています

初戦勝利したとは言え、19点差を僅か5点差まで結果追い上げられたことは
南アフリカのヘッドコーチ・デヴィリアスさんへの非難も

この試合で覆すべくの選手起用と思えます

対するライオンズは
大事なフォワードにはベテランををおき、
バックスリーの3人を全て若いアイルランド勢を起用し
万全の体制を取りました

1番Jenkins 2番Rees 3番Adam Jones

左からウェールズの第一列
1番ジェンキンズ、2番リース、3番アダム・ジョーンズ


そして、4番には最年長35歳ベテランのイングランド・サイモン・ショーを入れ、
ハーフ団は前回同様ウェールズのコンビ、9番大型のフィリップ、10番ステファン・ジョーンズ、
12,13番はブレークできる2人
若手のウェールズ・ロバーツとアイルランドのオド、
11、14、15番は若手アイルランドの3人

さて、南アフリカ国歌斉唱興奮冷めやらぬ間に
キックオフ後32秒後に
何と!久しぶりに復帰した50キャップ目のバーガーが危険な行為
(目に指を入れる・・・)のため
10分間の退場

その間に1998年このスタジアムで初キャップを得た
10番ステファン・ジョーンズのペナルティーゴール、
そして、ラック後のボールを持った彼はタックルを受けながら
後ろ斜めに絶妙なパスを送り、
15番若いカーニーが先制トライを決めます


ステファン・ジョーンズ
この後15番カーニーが受け取り、右隅に先制トライ
その後のコンヴァージョンもジョーンズが決める


ライオンズはこの一戦を落とせば後はなく、
その意気込みが迎えるスプリングボクスを上回り
前戦のフォワードでの立て直しをきっちりとしてきたように思いました

しかし、それでも取られたら、取り返す!という
彼らは10分の退場から戻ったバーガーを入れ15人体制に戻るや否や
得意の安定したラインアウトから14番ピーターセンが右へブレイク、
すかさずトライをもぎ取ります


ブレイクした14番Pertersen
ラインアウトから素早くすり抜けた14番ピーターセン

しかし、その後は前半、後半へもこの日一人キックで繰り出した
10番ステファン・ジョーンズは合計5つのペナルティーゴール、
1つのドロップゴールとボールの良く飛ぶこのスタジアムを生かし
20点を生み出しました

後半11番のハバナのトライ後は
試合終了10分前になり、
大きく点数が変わってきます
70分に4つ目のペナルティーゴールを決め、
点数が22-18と僅か4点差になった後
後半になって交代した12番のポジションへ入ったフォーリーが
73分に力で持ち込んだ右隅ぎりぎりに入ったトライによって
点数がひっくり返り22−25と南アフリカは執念の逆転に成功します

執念のトライ73分のJaque Fourie
大きく手を伸ばし叩きつけた逆転トライ 21番のフォーリー

しかし、この最後のフォーリーのトライは彼の右足が
ゴールをランディングする前にラインから出て、
更にその足が着いているかどうかの物議を醸し出しました

長い協議の結果トライが認められましたが、
やはり大事なこの瞬間を更に見つめ直しを期待したかったのは
やはり私自身もライオンズ贔屓だからかしら・・と認めなくとも
その疑問については大きいと思いました

しかし、昨年のグランドスラムの立役者
“レッドドラゴン”の10番ステファン・ジョーンズは
その2分後に再び
ペナルティーゴールに成功
これで、ライオンズは25-25とドローまで追い込んできました

そして、残り5分

誰もがこのまま引き分け、第三戦目にもつれ込むかと思われた時
最後のリスタートのキックで弾けるように飛び出したオガーラのタックルは
危険なタックルとしてペナルティー
を受け、
22番後半から交代して出場した地元ブルズのステインに
そのゴールまで50m近くはあろうかと思われたペナルティーゴールを決められ
痛恨の逆転さよなら負けにがっくりくるライオンズ同様、
私も夜中のテレビの前で涙していました・・・


問題のOgaraのレイトタックル
問題の最後ペナルティーになった瞬間
レイトタックルと危険なタックル、という反則 アイルランドのオガーラ


そして・・・明暗・・・・

最後に逆転勝利したスプリングボクス うなだれるライオンズ

左は最後ゴールを決めたステインを囲んで喜ぶ南アフリカ代表スプリングボクス、
右はがっくりとうなだれるライオンズメンバーとバックにはスタンドの大応援団



あとがなくなったライオンズ
さあ、最終戦はどんな戦い方を魅せてくれるのか・・・?
このままで終わるはずがないと信じるのみの1週間後になりました


ただ、この試合でライオンズのわずかな救いは
最優秀選手に選ばれたのは
最年長の4番・サイモン・ショウだったことでした

(良い働きをしていただけに・・残念・・・・・しつこい・・?








【第三戦目】

 
7月04日

Johannesburg Coca Cola Stadium (Ellis Park Stadium)

British & Irish Lions
VS South Africa
28-9
(前半終了時 15-6)



南アフリカの大都市ヨハネスブルグにある
このCoca Colaスタジアムは別名エリス パーク
1995年のラグビーワールドカップでの最終戦が行われた
この国最大のラグビー場です

最大観客数は60,000人
来る2010年のサッカーワールドカップでメイン会場の一つにある予定です

Coka Cola Sutdium
ラグビー専用では最大のスタジアム 昔のエリスパークスタジアム
現在はコカコーラ スタジアムと名が変わっています


12年に1度のこの大会も最後の決戦はここヨハネスブルグでの1戦になりました
この日に集まった観客数は58,319人 ほぼ満席での集客になりました


もう後がないライオンズ
このまま全敗することは決して許されることではなく
北半球のラグビーを持ってしても何としても勝たなくてはならない最後の試合です


試合前の円陣
試合前の円陣 もう後がない・・・


しかし、元々乱暴者(と、言うのは私だけ・・お許しを・・)の
南アフリカ勢との長いこのシリーズで最終戦までには
かなりの怪我人も出ています
(すでに肩を脱臼した者等・・
主要メンバーであるアイルランドのオドもすでに帰国の途についていました)

最後のライオンズメンバー
この日を持って最後のライオンズメンバー
同じメンバーで同じ対戦相手とはもう2度とないこのシリーズの最終戦


しかし、前の試合で目を狙ったとされ退場になったバーガー、
ラックの際にショルダーチャージをしたとされるボタも2週間出場停止を受け
この試合には出られません
(特にボタの処置についての処分は厳しすぎるとのことで
この日の南ア選手の右腕には“Justice”と
処分に対して抗議の腕章がつけられていました)


南アの主将Smitの腕に掲げられる“Justice”
この日南アの選手の腕に掲げられた“Justice”
主将スミットもその太い腕にはっきりと・・・



さあ、最後の大事な試合メンバーに選ばれたのはどんな選手だったのでしょう




先ずはライオンズは頼れるフォワード第一列は
今までの2戦目とがらっと変わって
両プロップにイングランドの重たい2人
1番シェリダン、3番にはベテラン・ヴィッカリー
(特に相手の大黒柱スミットの対面には力自慢のシェリダンが・・)
2番は安定しているウェールズのリース、
4番は前試合の優秀選手サイモン・ショウ、
5番は主将で頑張るアイルランドのオコンネル、
6番はイングランド・テストマッチデビュー10年目になるウーズリー、
7番はウェールズの大ベテラン!
六ヶ国対抗戦グランドスラム2005年に最優秀選手だったマーティン・ウィリアムス、
8番はアイルランドのヒースリップ、
9番10番はお馴染みのウェールズのコンビ、フィリップス、ジョーンズの2人、
11番はどこで出てくるか?注目選手の“牛若丸”ことシェーン・ウィリアムス、
12番はイングランドチームからニュージーランド出身のフルーティー、
13番はアイルランドのボウ、
14番はイングランドの大型力強い俊足のウーゴ・モニア、
そして、15番はすっかり定着しつつあるアイルランドのカーニー


大活躍のウェールズ Stephen Jones
大活躍のステファン・ジョーンズ
出場選手1小柄なウェールズ Shane Williams
出場選手1小柄なシェーン・ウィリアムス



対する南アフリカは第一列3名は不動のメンバーで
6番の若いブルゾー、
10番は初先発、前試合で最後80分に54mのゴールを決めたステイン、
11,14,15番のバックスローは代表としては若い3人が・・・
いずれにしても層の厚いこの国代表選手が出揃いました


開始早々からテンポの速いリズムに乗った
前へ前へのウェールズの小気味良い攻めから出てくる
ライオンズのフォワード陣

2列、3列の選手がこれでもか、これでもか・・と言う風に
途切れることなく短いスペースに突っ込んでいく

ライオンズ3番ヴィッカリー
2週間前は苦しみ、辛かった初戦を生かし、
良い働きを見せてくれるイングランド代表元主将ヴィッカリー



そして、あの力強い南アフリカ勢との絡み合いでも
少ない人数でとにかくボールに手が出て
そして・・良く出すライオンズ

この攻めならば・・・と思っても、元々重たく強いスプリングボクスのフォワードも
いやらしいくらいにターンオーバーを試みる・・・

しかし、お待ちかねのファーストスクラムでは
第一戦で尽く反則に取られた1番ヴィッカリーが顔を真っ赤にして押し返す

とうとう南アの1番は堪えきれずスクラムを落としてしまう

・・・これぞ、ラグビー・・と私の大好きなフォワード戦・・とまでは行かなくとも
あの3番スミットも顔つきが変わり
対面のシェリダンと組している

お互いに一つづつのペナルティーゴールが決まった3-3の後、
突進して行った8番ヒースリップが、
後ろからの強いタックルにあわや倒れるかと思いきや
すかさず立ち上がり、また突進して行った
その横にはきっちりと駒回しのような俊足シェーン・ウィリアムスが背走していました



8番heaslip
しばしばゲインする8番のヒースリップに大歓声があがる


この最終戦に賭けるライオンズの気迫がとうとう
開始26分!
それまで南アの大きな選手に飛ばされ、
タックルへ行っても余り効果なく・・やっぱり駄目なのか・・・?と一瞬思った
小柄なシェーン・ウィリアムスの切れの良いステップで走り抜けた
両チームを通じて最初のトライは
今までのスプリングボクスの胸をすくような素晴らしい5点でした


最初のトライ ウェールズのwilliams
狭い場所を鮮やかなステップで突いた
トライゲッター14番の“牛若丸”シェーン・ウィリアムス



その後小さなキックからそのボールを己で取り、
倒れながら斜めにこれまた背走していた
シェーン・ウィリアムスに斜め後ろへのパスで
あとは任せた!とばかりに渡す技術は
これぞ!世界最高峰の試合、という醍醐味を存分に魅せてくれました


南アとラインアウトで競り勝つライオンズ主将オコンネル
南アお得意のラインアウトでも負けていない
ライオンズ主将の5番オコンネル



後半に入り、立て直してきた南ア代表ことスプリングボクスでしたが
前半終わりごろ反則による10分間退場で14名になったライオンズからは
結局一つの
ペナルティーゴール3点のみしか手に出来ず
その後後半にもう一つ14番のウーゴ・マーニョのトライで点数を突き放して、
とうとうこのシリーズでは初めてのノートライでスプリングボクスは
“ライオン”に捕まりました







長い戦いが終わり・・

戦い終わる
試合後スタジアムを回り、観客席を真っ赤に染めた応援団へ
選手が手を振る・・また4年後に!









ライオンズツアーが終わってしまい、
私にとってもこのシリーズはワールドカップ並みに楽しいツアーになりました

最終戦のライオンズ
真っ赤に染まるスタンドと共に最終戦に望むライオンズ

改めて以前の試合も観てみると
若いオドが居たり、
中堅どころ、と思っていた選手が実はまだ活躍していたり・・

常に比べられる南半球と北半球

ラグビースタイルは訪れる季節のように真っ向反対ですが
・・派手に走るラグビーも楽しいけれど・・・
今回は最後顔を真っ赤にして頑張っていたフォワード陣達
辛いけれど、ラックもモールも短い突進も・・タックルも・・・
一つ一つが凄いな〜と思います
   前へ・・前へ・・・

やっぱりフォワード選手から目が離せない!

そして、これからも北半球ラグビーから離れられない!
ラグビーって面白いな〜


ライオンズ ヘッド・コーチ McGeechanさん

では、また!





このページは私個人の意見を好き勝手に述べさせていただいておりますので
何卒ご了承くださいませ

どうぞ、ラグビー観戦にご興味がおありになる皆様からのご意見・ご質問をお待ちしております











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